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キャリア教育推進コーディネーター日記「人生の先輩と語る会」

記事ID:0012010 更新日:2018年12月18日更新 印刷ページ表示

11月30日、 南箕輪中1年生が、「人生の先輩と語る会」と題し、地域の大人(=人生の先輩)17人を学校に招き、「考え方」「生き方」「仕事」「生活」「趣味」などについて語り合いました。

 表紙

南箕輪中1年生は、これまでの日記でも紹介しているとおり、地域の方々と様々な学習を行ってきました。南箕輪村の“光”を発信しよう!」「南箕輪村で生きる人々に学ぶ」「ふれあい講座」などと、村の魅力的なもの・こと・仕事・人などについて調査活動と発表を行いました。

(詳しくはこちらの日記「南箕輪村の“光”を発信しよう!」「村の光を発信しよう!~調査編~」「南箕輪村で生きる人々に学ぶ」

今回の「人生の先輩と語る会」の目的は、【人生の先輩との交流を通し、将来の視野を広げ、今の自分自身を見つめよう】。

仕事、家庭、出身地域、趣味など様々な大人の方17名を講師としてお招きしました。1グループ講師1人に対し生徒約10人。1回40分の交流を2セット。生徒1人あたり2人の講師の方とお話をしました。

 講師の方から「恥ずかしさや緊張でなかなか発言できない生徒さんが、終盤打ち解けて笑顔になってくれたことが嬉しかった」と感想をいただけたように、40分間、講師の方々が本気で生徒たちと向き合ってくださいました。

※後半に、生徒、講師、先生の声を載せています。ぜひお時間のある際にゆっくりとご覧ください。

今回ご協力いただきました講師の皆さんです。

No

氏 名

所 属

1

榎本 浩実さん

やまとわ

2

中村 光宏さん

日本ピスコ

3

藤崎 淳子さん

テクノフレキス

4

武村 由紀子さん

Clamp

5

五味 忍さん

積水ハウス

6

井口 裕太さん

いちえ

7

溝口 芙美香さん

狐の香り

8

根津 直明さん

そば処 新兵ヱ

9

栗原 勇雄さん

マルエー

10

平垣内 宣博さん

みのわ園

11

穂高 幸枝さん

伊那中央病院

12

城村 英志さん

5leaves

13

織部 郁代さん

bぱれっと

14

伊藤 洋子さん

ダーチャ

15

今井 純さん

プリジュ

16

土田 智さん

リムデザイン

17

繁田 隼さん

Vc長野クリエイトスポーツ


☆生徒スタッフの活躍

今回、生徒スタッフを募集したところ18名の生徒が手を挙げてくれました。1か月半前から作戦会議を何度も開き、準備をすすめてきました。

「どんな大人(仕事、家庭、地域、趣味 など)と話をしたい?」

「どんなことを聞いてみたい?」

「事前にどんな情報が分かると、生徒のみんなは興味がわくかな?当日の話が盛り上がるかな?」

など、スタッフの意見をもとに会を作り上げました。

また、クラス全体への事前説明、当日の進行も担いました。

スタッフ お礼

忙しい昼休みに集まり、当日が良い時間になるように、と頑張ってくれました。当日の生活記録(日記)には、「自分たちが関わった」という達成感を感じていた言葉も書かれていたようです。

スタッフが頑張ってきたことを知っているからこそ、スタッフ以外の生徒の当日の集中力や頑張りが見えたのもうれしかったことでした。

【スタッフの声】

・みんなで協力して役割分担ができてよかった。

・他のクラスの人と話し合ったりしながら、会の準備ができてよかった。

・自分たちでどんな人を呼ぶなど決めることができて楽しかった。

・当日は言葉を間違えたけど、スムーズに動けてよかった。


☆事前学習

・村キャリア教育推進コーディネーターより目的、概要説明。

・スタッフより各クラスで説明。講師自己紹介冊子を配布。自己紹介や人生グラフを読む。

 藤崎さん(藤崎さんの人生グラフ)

・自分が話を聞きたい講師を選ぶ。

 (当日は生徒1人あたり2人の講師の方と交流。第一希望の講師は必ず話が聞けるよう、生徒を割り振り。)

・「今」の自分を見つめるシートを記入する。

・自己紹介や人生グラフをもとにどんな質問をしたいか考える。


☆当 日

南箕輪中学校体育館にて

 集合

・各ブースごとの交流1回目

(1)   アイスブレイク

 まずは、心と体をほぐすゲーム。グループごとで円になり、まっくんボールを持った人が「今日あった良いこと」を言って、次の人に優しくパスします。楽しそうにすすめていました。まだ緊張があり、声が小さい生徒もちらほら。

アイスブレイク

(2)   講師よりお話

 講師の自己紹介を兼ねて、人生グラフをもとに今までの経歴について話をしていただきました。うまくいかなかったときにどうやって乗りこえたか、今の仕事の喜びなどを具体的なエピソードとともに話してくださいました。

榎本さん 土田さん

(3)   交流タイム 

 生徒が考えてきた質問、その場で思いついた質問を通して交流をしました。一人一人の質問に、目を見て真剣に答えてくださる講師の方々。恥ずかしそうだけど、うれしそうな生徒の表情が印象的でした。40分間の交流を通して、だんだん生徒の声が大きくなったり、自分から話すことができたり、生徒の表情が柔らかくなっていきました。

  

平垣内さん 穂高さん

生徒の手元のメモ用紙には、びっしりと言葉が記録されていきます。

メモ

(4)   感想・メッセージ記入

 講師の話の中で印象に残った言葉や、そこから自分が今後何を大切にしていきたいかなど、思い思いに記録していました。

・各ブースごとの交流2回目

 メンバーを替え、もう1回交流を行いました。

(1)   アイスブレイク

(2)   講師よりお話

(3)   交流タイム

(4)   感想・メッセージ記入

・お礼の言葉

スタッフ生徒より、当日聞いたお話の中で具体的にどんな言葉が印象に残ったのか、発表されました。


今回の目的は、「人生の先輩と語る中で、将来の視野を広げ、今の自分を見つめる機会にしよう」です。

この会を通して、生徒は、大人は、何を感じたのか。一部ご紹介します。

【生徒の声】

◎私もアニメや漫画が好きで、周りの友達の話を聞いたりしていくうちにこのままでいいのかなと悩んでいましたが、今回、「好きなことはずっと好きでいい」という言葉を聞いて、少し安心しました。それから、私は英語が少し苦手なので、がんばりたいと思います。ジャムとてもおいしかったです。

◎これまでの自分は人間関係とかで悩んでいたけど、それはダメなことではなく自分を成長させるための第一歩だと分かった。これからの人生を、悩んで考えて、悩んで考えて、たくさんの答えを探していこうと思う。話を聞き、仕事では困っている人が助けを求めてくることが多いと思っていたが、幸せな人が来る仕事もあるということに驚いた。

栗原さん 溝口さん

◎自分も、保育園のころ家族が病気になって…略…今もたまに急に気持ち悪くなるけど、今日のお話を聞いて、自分は感情におさえつけられる?みたいになっていたのかなと思った。だから、これからはなるべく、「つらい」と思うとつらいから、プラスにポジティブに考えようと思えました。ありがとうございました

◎看護師にも、いろんな種類や仕事があることが分かった。子どもの笑顔や声を聞くと、幸せを感じるということが、共感できた。

◎今、夢がなくても、どんどん夢がわいてくることが分かって良かったです。落ち込んでも、上がってくることが分かったから、僕もそういう風になっていくんだなと思いました。みんなと違う人になってみたいです。

◎話を聞いて、将来の夢を持っていなくても、いつかはやっているうちに夢が見えてくるんだなぁと思いました。誰かを助けるために働くってすごくいいことなんだなぁと思いました。自分も落ち込んでもそれをチャンスと思って生きていけるような明るい人生を歩んでいきたいです。

武村さん 伊藤さん

◎自分も最近あんまりうまくいくことがないからあきらめないで、がんばりたいと思いました。最初はできなくてもいいから、後に役立つように今を生きたいと思います。

◎私はもともと看護師になりたくて、それを改めて感じたのは病気のおじいちゃんを看護してくれた看護師さんを見てからでした。今日は、持ち物や仕事の内容、やっておいた方がいいことなどが知れて、とてもいい時間でした。将来、看護師になれるように今から頑張っていきたいです。

◎私の夢は救命救急士になることです。穂高さんの話を聞いて良かったと思いました。救命救急士になって、穂高さんにまたお会いできるといいです。少しの時間ですがありがとうございました。お仕事頑張ってください。

保護者でもなく先生でもない大人と出会って、色々なお話をして、色々な角度から心に残る言葉があったようです。一人の講師に対する感想の中にも、多くの話題について触れられているのが印象的でした。


☆勉強、生活、やる気アップのきっかけづくりに!

生徒の感想を読むと、「生き方」「考え方」を学ぶって、【今の生活(学校や部活、家庭など…)への意欲向上】につながっているのでは?という発見をしました。

◎これまでの自分は勉強なんて好きな科目だけをやればいいと思っていたけど、講師の先生の話を聞いて、全科目を全力でやる気になりました。

◎小学生のころから勉強が嫌いで中学に入ったけど、話を聞いて勉強の大切さや中学校の勉強は土台となることなどが分かりました。

◎社会では、役に立てるか立てないかで決まる。この先、得意なことを伸ばせればと思いました。

◎「自分で社会を変える!」という言葉が印象に残りました。父、母に大きな声で「おはよう!」と言ってみたいです。自分の力だけでは、成功しないと思います。支えてくれる友達関係をしっかり築きあげられるようにしたいです。僕は趣味というものがあまりないので、たくさん作れるようにしたいです。

 中村さん

「何のための授業なの?」

 「部活をがんばるって何に役立つの?」

 「周りの人との関係を大切にすることは、どうして大切なの?」

 「悩むこと、うまくいかないこと、つらい…」

 生徒たちが、普段は口にしないけど心の中で抱えていたモヤモヤ。講師の方の言葉はそこに響いていたようです。

 話をしてみて、『…だから、“今を一生懸命”って大事なのかも』と気付くことは、今、目の前を大切に過ごすことにつながります。キャリア教育は、日々の生徒たちの生活、つまり各教科の時間をはじめとする学校生活、家庭生活、地域生活の意欲向上につながるのだと改めて感じました。(もちろん、すぐに変化や成果が出るものではないですが、いつか彼らを支えるヒントになることを願っています。)


【講師の声】

◎私自身にとっても。これまでの振り返りになり、仕事をする意味を再確認できました。遠いアフリカのことを、少しでも近くに感じてくれたかと思うと嬉しく思います。「いつか一緒に仕事やボランティアができたらいいな」と、彼らの目を見ながら感じました。今日であった一人一人の幸せを、心から願っています。

◎大人数だからか、全体的に少しおとなしい印象でしたが、私の話したことに熱心にメモを取り、質問をしたりと一生懸命に取り組んでくれました。

◎一度だけでなく、今後どのように変わっていくのか、関わったからには興味があるし、今後とも力になれればという気持ちです。

◎重要な取り組みではあると思いますのでぜひ続けてください。

◎本当に感謝です。素敵な時間でした。ありがとうございました。

井口さん 

◎人生グラフは説明しやすかったです。

◎テーブルごしではなく、車座というのが話しやすくてよかったです。

◎とても楽しかったです。アイスブレイクで聞いた好きなこと等があとで役に立ったのもあって、よかったです。

◎一人一人の子どもが、自分を見つめ、向かい合っていく大切な時間に関われたこと、感謝しております。

◎本日のことではありませんが、先日の2年生のキャリア教育で息子が家に帰ってきて工藤さんの話を聞いてすっごい良かった、かっこいいと思ったと色々話してくれました。当日はぽかんとして聞いていたのだと思いますがしっかりと心には残っていると思います。親としての言葉になってしまいましたが、いつも子どもに良い機会を与えてくださりありがとうございます。

◎何か一つでもヒントになったり伝わることがあればうれしいです。私にとっても良い機会となりました。ありがとうございました。またなにかご協力できることがあればぜひお声かけください。

 

このように、講師の方々にとっても「自分を見つめる時間」となったことが本当に良かったと感じます。お互いにとってメリット、感動があることが、取り組みの継続には必要です。講師の方々が真剣に生徒たちに向き合ってくださったおかげです。ありがとうございます。

 

◎セッションの終わりに、「今日どんな話が聞けましたか?」という質問、お題で、2人1組でいいので、1~2分ほど振り返りの話があるといいかも。

◎自分の思っていること生徒の顔や反応を見ながら話すとしっかりと聞いてくれる。「教えてやる」の態度だと反応が薄い気がすると反省しました。しかしながら、生徒さんはよく聞いてくれました。ありがたかったです。

◎生徒たちとの距離感がなかなかつかめなくて、最初の10~20分は微妙な感じで難しかったです。生徒たちがより興味を持ってもらえるようなアイテム等持ってくればよかったと感じました。

このように、より良い学習にしていくためのアドバイスや反省点も共有してくださいました。

◎恥ずかしさや緊張でなかなか発言できない生徒さんが、終盤打ち解けて笑顔になってくれたことが嬉しかったし、楽しい時間を過ごせました。もう少し、ほんの少しでいいので、声を大きくする心がけをしていってほしいです。(自分の意志意見を相手にきっちり伝える)

このようなご意見もいただきました。ありがたいです。将来社会に出て、周りの人と支え合いながら生きていく力を生徒が身に付けられるよう、日々の指導に生かしていきたいです。「地域で生徒を育てる」、一つの形であると思います。

 

 

【先生の声】あるクラスの学級通信より

最後に、後日、あるクラスの先生が学級通信に載せていた内容を紹介します。

 先生

 子どもたちと同じように、僕もお二人の講師の方の話を聞きました。

 お二人の話しか聞いていないのですが、自分が、どうやって、今の場所にたどり着いたのか、とても興味深く聞きました。また、その時々にどんなことを思い、何をしたのか。これもとても参考になりました。人には、必ずドラマがあるな…と思いました。

 これまでに、何度かQ-Uというアンケートを行っています。その結果を見ると、自分の進路・将来について不安に思っている子がけっこういるのです。このアンケートの部分だけ、回答が明るいものではありませんでした。僕には、それを何とはすることはできずにいました。これまで担任した子どもたちも同じでした。

 はじめに紹介した日記の中に、次のようなものがありました。

 ・人生の先輩と語る前は、自分の将来が不安でした。が、話を聞いてみてからは、将来が楽しみになりました。

 ・私は、将来が見えなくて、焦っていると思います。でも、焦らなくていいことや、今を全力で頑張ることなど、沢山のことを教わったので、少し安心できたし、大人の仕事も楽しそうだなと思いました。

 多くの人々の生き方と言葉にふれることが、大切なことだと思いました。

 (講師の)榎本さんも、自分の進路を決めるのに、沢山のセミナーに参加しました。日本中を訪れ、50人近い人に会い、話を聞いたそうです。

 人と会って、その人の生き方に触れ、言葉をプレゼントされる。それを、自分の未来に役立てていこうとしている中学生に、僕も、ホッとしました。

 


地域の大人との交流を通して、生徒が広い視野を持ち、自分を見つめながら前向きにすすんでいくことを願います。

こうした機会が単発イベントにならず、ストーリー性をもって継続した取り組みになることも大事なことだと思います。日々の勉強や生活にもつなげることが大切です。1年生は、これまでの学習を生かしながら、「働くこと」や「生き方」についての学習をまた進めていきます。

これからも、家庭、学校、地域の皆さんで子どもの育ちを見守っていけたらと思います。ご理解、ご協力をよろしくお願い致します。