パート3 第12話 「つなぎサイトはだてじゃない！」

アクセス解析してみました！

なによ、いきなり。

つなぎサイトの放置プレイ期間中に、ヒマだったから、南箕輪村のウェブサイトのアクセス解析をしてみたんだよ。

いつの間にそんな技術を身につけたのよ。

あまりにすることがなかったから通信教育でちょっとね。

へぇ～。
で、解析した結果はどうだったの？

南箕輪村のサイトを訪れた人が、どんなキーワードでサイト内検索をしているかを見てみたんだ。

で、ここ1か月間の上位3つがこれです。

1位　入札
常に上位にランクインしている人気ワード。「いりふだ」ではなく「にゅうさつ」と読むらしいです。

2位　採用
ここ最近人気が出てきたワード。7月に村職員の採用試験要項が発表されるからっぽいです。

3位　フリーマーケット
こちらも季節的なもの。お盆明けの最初の土曜日に開催される大芝高原まつりには、50店舗ほどが出店します。
今年は8月20日開催予定です。

なるほどね。

こうやって、どんなキーワードで検索されているかを見れば、訪れた人が何を求めているのかが分かるわね。

うん、そうなんだよ。

で、調べていくうちにあることに気がついたんだよ。

「移住」や「定住」、「空家」っていうキーワードで検索している人がけっこういるんだよ。

村のサイトでは、検索枠に入力した文字ごとに検索数をカウントしているから、「空家」と「空き家」は別々にカウントされるんだけど、こういった関連したものをまとめると、1位の入札に匹敵する数が検索されてるんだ。

ということは、南箕輪村を移住先候補として、住む家を探している人がいるってことね。

うん。

で、ここからが大事なところなんだけど、南箕輪村は上伊那で唯一、移住関連のサイトを持っていないんです！

ダメじゃん！

南箕輪村は人口が増え続けてるっていう稀有な村だったことも、後塵に拝した理由かもね。

でも逆に考えると、周りの市町村ではすでに取り組んでいるんだから、良いところをパク・・・じゃなくて、参考にできるってことじゃないかな。

ナイスアイデア！

じゃあさっそく、リサーチ、リサーチっと。

フムフム、なるほど・・・・・

あっ、ここ良いわね。「みのわ町 移住定住 応援サイト　ほどほどの田舎ぐらし」っていう、お隣の箕輪町のサイト。

優しい色使いに、おしゃれなレイアウト、さらに「ほどほどの田舎ぐらし」っていうコピーが秀逸ね。

それに、実際の移住してきた人たちのインタビューがしっかりと取材されていて、読んでいて楽しいわ。

そうでしょ。

先に移住生活をしている先輩たちの声が聞けるのっていいよね。

うちでもそれを取り入れた方がいいと思って、移住者にインタビューしてきたんだよ。

それでは、ご覧ください。

【移住者の声】
■氏名　ザイセン中尉
■種族　マツノザイセンチュウ
■職業　赤松の駆逐

・なぜ南箕輪村を選んだんですか？
私たちは、近くに赤松がないと生きていけません。
しかも、なるべく木が密集していた方が生活しやすいんです。移動手段であるマツノマダラカミキリさんの航続飛行距離にも限界がありますからね。
南箕輪村を選んだのは、広大な赤松林である大芝高原があったからです。
それに、以前の住まいから適度な距離だったことも魅力的でした。

・普段は何をしていますか？
木の幹の中で、もぞもぞ動いてます。
たまに、マツノマダラカミキリさんの体にくっついてもぞもぞしてます。

・移住での苦労は？
これは南箕輪村に限らず、どこに引っ越しても苦労する点なんですが、人間たちはクスリを使って嫌がらせをしてくるんです。
南箕輪村では樹幹注入という方法で、私たちの住処となる赤松の木をクスリ漬けにするんです。しかも、クスリの効果が切れそうになると、また射ちに来ます。クスリを射たれると、もうその赤松には住めません。別の住まいを探さないといけないんです。
無事に住処が見つかっても安心はできません。私たちが住み着いた赤松は、なぜか葉っぱが茶色く変色するんです。
それを人間が見つけると、木のDNAを採取して、私たちが住んでいるかどうかを検査するんです。
住んでいることがバレてしまうと、その木は切り倒されて、ビニールで覆われ、クスリで燻蒸されてしまいます。
単独での移動手段を持たない我々は、見つかった時点で死を覚悟します。悲しいことです・・・

・あなたの夢は？
赤松の木から自立したいです。
移動のたびにマツノマダラカミキリさんのお世話になるのも気がひけます。
だから、翼が欲しいです。そして、どこまでもどこまでも飛んでいきたいです。

たしかに移住者だけど、ダメじゃん。

まったく参考にならないじゃん。

あ、ちゃんとしたサイトを作るのね。

そういうことなら問題ないわ。

そうね。あなたのオフィシャルサイトができたから、本来ならこのつなぎサイトは用済みのはずだものね。

まあ、今後も消されないように気をつけることね。